諸事情あって最近,親戚がマンションを買うことになりました。
約2500万円を借りるとなったとき、何年ローンを組むか。
20年?
35年?
ローンを組む際、不動産屋さんに
「(20年か35年かだったら)絶対35年の方がいいですよ!最近は超低金利ですから!」
と言われたそうです。
僕はこの話を聞いてもいまいちピンときませんでした。
僕の家もマンションで、ローンを組んでいましたがボーナスが出るたびに繰り上げ返済をして想定していた年数よりもだいぶ早く返済を終えていたからです。
この記事では住宅ローンの仕組みと、利率や返済期間によって返済総額や、返済月額がどのように違うのかを解説・紹介します。
利息の付き方 ~単利/複利~
まず、借金の利息のつきかたには単利と複利の2種類があります。
が、住宅ローンは普通、単利です。
単利は
- 借りた額だけに利息がつく
- 普通の(健全な)住宅ローンは単利
複利は
- 借金の総額に利息がつく(利息で増えた分にも利息がつく)
- いわゆる闇金とかはコッチ
複利は借金が雪だるま式に増えてしまうので利息が低く見えてもとてもヤバい、と認識しておけばいいでしょう。
単利で考えていきます。
返済方法 ~元利均等返済/元金均等返済~
ローンの返済方法にも元利均等返済と元金均等返済の2種類あります。
一般的には元利均等返済が選択されるようです。
元利均等返済は
- 毎月の返済額がずっと同じ
- 返済総額は元金均等返済よりも多くなる
元金均等返済は
- 元金(借りた額)を返済期間で均等に割って返済していく
- 毎月の返済額はだんだん減少していく
- 返済総額は元利均等返済よりも少なくなる
というような特徴があります。
今回はより一般的な元利均等返済(毎月の返済額が一定)の場合を考えていきます。
返済の計算
借りる額、利率、返済期間を決めれば毎月の返済額を計算することができます。
しかし、
この計算、
そんなに簡単ではありません!!
(高校数学の数学B、等比数列の和や漸化式あたりの知識が必要です。)
ですので、まずは式を使わずに全体観をつかんでいきましょう。
年利?月利?
最初に利率について。
年利1%とか年利1.5%とか書いてあることが多いと思いますが、ローンの返済は基本1か月ごとに行います。
年利は1年で発生する利息なので、実際の計算では年利を1か月分に換算した利率である月利を使います。
1年=12か月なので今回は簡単に
月利=年利÷12
と考えておきましょう。
*本当は1か月31日だったり28日だったりして長さが違うので、
月利=年利×(その月の日数/365日)
と計算するようです。
毎月の返済額の内訳~利息分と元金分~
元利均等返済では毎月の返済額は変わりませんが、ローンの返済が進むと借りている額がどんどん減っていきます。
借りている額が減っていくとかかる利息もどんどん減っていきます。
よって、毎月の返済額のうち、利息分と元金分の割合は変化していきます。
利息分の割合が小さくなっていき、元金分が大きくなっていく、というわけです。
もう少し具体的に見ていきましょう。
2500万円を年利1%、35年ローンで借りるとしましょう。
月利は 1÷12≒0.083% となります。
あとで示す計算で毎月の返済額が求められます。
毎月の返済額は7万571円です。
1回目の返済(1か月目)では
利息分が
2500万円×0.083%=2万833円
なので、元金分は
7万571円ー2万833円=4万9738円
となります。
そうすると借りている額の残高はその分だけ減って、
2500万円ー4万9738円=2495万262円
となります。
2回目(2か月目)の返済では
利息分は、借りている額の残高に月利がかかるので
2495万262円×0.083%=2万791円
元金分は
7万571円ー2万791円=4万9780円
となります。
利息分は減って(2万833円→2万791円)
元金分が増えた(4万9738円→4万9780円)
ことがわかると思います。
毎月の返済額の計算方法
高校数学の数列の知識を用意してください!!
-
- 借りる額をd円
- 月利をr (100r%)
- 支払い回数をn (35年ローンなら12か月×35年=420回という感じ)
- 求める毎月の返済額をx
- i回目の支払い後の残高をdiとすれば
手書きでお目汚し申し訳ないのですがこんな感じです。
自分で計算するのはメンドウなのでシミュレーションサイトを使うのがいいと思います。
20年と35年、年利1%と3%の違い
ということで適当なローン返済シミュレーションサイトを利用して、
2500万円借りた場合の
- 返済期間35年と20年
- 年利1%と3% (ちょいと昔は3%くらいだったらしい)
をシミュレーションしてみました。
1% | 20年 | 35年 |
毎月の返済額 | 114973円 | 70571円 |
総返済額 | 約2759万円 | 約2964万円 |
3% | 20年 | 35年 |
毎月の返済額 | 13864円 | 96212円 |
総返済額 | 約3328万円 | 約4041万円 |
3%35年の総額はちょっと信じられないですね。
利息で1500万円もとられるなんて…
それはさておき、20年と35年の総返済額の差を比較してみましょう。
1%の場合は20年の方が約200万安くなっています。
3%の場合は20年の方が約700万安くなっています。
…。
これはどうなんでしょうか?
200万でも結構大きいと思うのですが。
まあその分毎月の返済額が4万円高くなるので、それと比べてどちらをとるかってことですね。
住宅ローンは借りた本人が亡くなったりすると棒引き(チャラ)になったりするそうです。
今回借りた親戚はもう若くはないので、そういうことも視野に入れての不動産屋のアドバイスだったのだと思います。
まあ確かに月4万の差はデカいか…。